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早いもので、もう9月になりました。芸術の秋の始まりです。アートを思う存分楽しみましょう。
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書斎館オリジナル 鍵型ボールペン
「カシエ」
役所、病院、駅の乗車券売り場など、用紙へ記入するのは決まってボールペンである。ボールペンは筆記具として後発組なのにこれほど普及し、いたるところに転がっていて、もっとも身近な筆記具となっている。日本におけるボールペンの年間出荷総数は約6億本。日本の人口は約1億3千万人だから1人5本は所有している勘定になる。
ボールペンは1943年、新聞社で校正係をしていたハンガリー人のラディスラオ・ピロが考案。アメリカの筆記具会社が特許を買って製品化し、他社もすぐに追随した。その二年後、戦後の日本にやってきた駐留米軍兵士たちは、皆胸ポケットにボールペンを差していたというから、ものすごい勢いで普及したといえよう。
鉛筆は芯が減ったら、削らなくてはならないし、万年筆はインクを補充しなくてはならないが、ボールペンなら相当長く書けた。キヤップもいらない。戦場の兵士たちにとって、これほど便利な筆記具はなかっただろう。
「明窓浄机」というと文房四宝である硯・墨・筆・紙をそろえた書斎を想像するが、その机上にぴったりのボールペンを見つけた。 青山の骨董通りを横へ入った場所にあるペンブティック「書斎館」には、オーナー赤堀正俊さんが世界中から集めたアンティーク、新製品の万年筆約30メーカーの二千本と、あらゆるインクがそろう。 ここで見つけたボールペンが、エジプトの鍵を象った「CASHE(カシエ)」である。ペースモデルを創ったのは、日本で唯一人のハンドメイド・ボールペン・デザイナーの原マサトさんだ。 ボールペン・カシエは「人間が財産を持つようになったとき、それを守るための工夫がなされ、それが“エジプト鍵”と呼ばれ、“カシェ”は彫像や宝物などを意味した」ことから、このボールペンが命名された。まさに、大切なことを書き留めるのにふさわしい筆記具である。
千本限定生産で、鍵のツマミにシリアルナンバーが刻印してあり、「書斎館」のオリジナル商品である。真鎗製で、全長約10センチ、鍵形シリンダー部分先端からボールペンのペン先が出てくる仕掛け。リフィルはパイロットのBRF−8Fが装着できるほか、ロットリングなどのリフィルも使用可能。 ペン先を出すには鍵のツマミを押し込んで180度回転すると固定する。リフィルを取り替えるには先端のキャップをはずして交換する。重さは約48グラムだから、メモ書きをするのにちょうどよい。
原マサトさんのアトリエには旋盤が据え付けてあり、5円硬貨と同じ銅(60〜70パーセント)と亜鉛(30〜40パーセント)の合金・黄銅(真鍮)をていねいに削り研磨して、このボールペン・カシェを創った(原マサトさんが創ったプロトタイプをもとに、真鎗旋盤職人が商品化)。黄銅(BRASS)だから磨くと黄金色に輝き、やがてアンティークのように渋味が出る。 何げなく机の上に置いてあると、ボールペンには見えず、大切なものがしまってある“隠し場”の鍵そのものだ。こんな遊び心を満足させてくれる「文房清玩」といえよう,ツマミの穴に紐を通して首にかけ、ペンダントにしてもいいし、鞄に取り付けておくとメモのたびに探さなくても済む。 「結婚式の引き出物、新築のお祝いにも重宝されています」と書斎館・奥野美紀子店長は語る。●(文・渡逢慶司)
全長約10cm 重さ約48g 真鍮製 ※素材の真鐘は、5円硬貨や金管楽器に使われている、黄銅。磨くと美しく輝く。 リフィルはパイロットBRF-8Fほか装着可能
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